自分のテーマって価値が低い気がして、もっといいテーマにしたいです。どうすればいい?
価値が高いテーマとは「やってみないと分からない発見や気づきがある」もの。今のテーマを捨てる必要はなく、視点をずらすだけでいい。たとえば「相手を喜ばせる」なら、モノそのものではなく渡し方・香り・五感で感情をどう動かすか、という人間研究の方向にもできます。掛け算するか、片方に絞るか、自分たちの「らしさ」がどこにあるかを言葉にするのが第一歩です。
VOICES FROM THE FIELD / 相談会で出てきた実際の質問
ナガサキ探究相談フェスに参加した高校生のリアルな質問と、サポーター・運営からの回答。
「自分だけが悩んでるのかも」と思っているあなたへ。同じ場所で立ち止まった先輩たちがたくさんいます。
自分のテーマって価値が低い気がして、もっといいテーマにしたいです。どうすればいい?
価値が高いテーマとは「やってみないと分からない発見や気づきがある」もの。今のテーマを捨てる必要はなく、視点をずらすだけでいい。たとえば「相手を喜ばせる」なら、モノそのものではなく渡し方・香り・五感で感情をどう動かすか、という人間研究の方向にもできます。掛け算するか、片方に絞るか、自分たちの「らしさ」がどこにあるかを言葉にするのが第一歩です。
方向は決まっているのに、具体的に何を探究すればいいか分かりません。
すでに答えがあることを調べても「調べました」で終わってしまいます。大事なのは、自分たちの素朴な疑問を起点にすること。「なぜこうなるんだろう」「この差は何だろう」と問いを立てると、切り口が無数に見えてきます。ネットに載っていない答えを自分たちで作り上げる——そこに、他の人には真似できない独自性が生まれます。
テーマは決まったのに、それを軸に何をすればいいか定まらず手が止まっています。
決め方には大きく2タイプあります。「目の前の困りごとを解決したい」課題解決型と、「自分の好き・得意を活かしたい」好き起点型です。まず自分がどちらのモチベーションで続けやすいかを見極めましょう。多くの場合は片方をベースに、もう片方を掛け合わせると形が見えてきます。手段から探さず、自分の動機の軸を先に置くのがコツです。
社会課題と結びつかない「自分の好きなこと」をテーマにしてもいいんでしょうか?
むしろ好き起点で大丈夫です。好きじゃないと深掘れないし、課題ベースだと「それっぽい」ところで止まって薄くなりがち。人間の良さは偏愛的なところにあるので、衝動に任せた方がいいものができます。学校的に社会課題へ結びつける必要があっても、入口は好きでいい。好きにフォーカスした方が、キャラが立って解像度も上がります。
探究のテーマって、好きなことが見つからないと立てられないんでしょうか?
探究は「自分らしさの探究」です。好きなものはそんなに多くなくて当たり前なので、「嫌じゃない方を選ぶ」のも立派な探究。「これは嫌だ」「なんか違う」と気づくこと自体がとても大事で、思っていたのと違った、という経験もすごくいい探究になります。正解を一発で当てようとしなくて大丈夫です。
探究の問いがまだ定まらず、行動も起こせていません。高2なのに遅いのではと焦ります。
高2でその問いを持ち、テスト前にこういう場へ自分から来ていること自体が、もう十分に能動的ですごいことです。今は問いを絞りきれていなくて全く問題ないし、周りと比べて焦る必要もない。まずは小さくてもいいので一つ行動を起こし、それを何らかの形で外に出してみてください。反応が返ってきて、そこから思考が深まっていきます。
イベントや活動、何人来たら成功なのか分かりません。目標の人数に届かず悩んでいます。
まず「自分が成功と思う状態」を具体的に決めることが大切です。人数より濃度で、興味の薄い大人数より熱量の高い少人数の方がいい企画になります。同じ人が何度も来てくれる状態の方が、一度きりの大人数よりずっと価値があります。数字に縛られず、自分なりの成功の基準を先に置いてみてください。
「中高生に届けたい」とテーマを決めたけど、どんな発信をすれば刺さるのか分かりません。
「中高生」はとても広い言葉で、同じ高校生でもスポーツ推薦の子と図書館で本を読む子では刺さる中身が全然違います。「実は◯◯先輩のことだった」と言えるくらい、たった一人を思い浮かべるレベルまでターゲットを具体化してみてください。具体に行かない限り、情報はぼやけて誰にも届きません。自分と感性が近い相手から攻めるのも手です。
いろんな世代の人に喜んでもらうには、何を載せたり伝えたりすればいい?
「誰にでも良い」は「誰にも良くない」になりがちです。あれもこれも詰め込むと、結局誰も手に取りません。まず情報から考えるのではなく、「受け取った人がどんな気持ちになるか」から逆算しましょう。最初はターゲットを一つに特化させ、そこに要素を一つ足すとどうなるか、と小さく研ぎ澄ます。完成を待たず、まず作って渡し、反応を見て繰り返すのがおすすめです。
アイデアはあるけど、まず何から動き出せばいいか分かりません。失敗するのが少し怖いです。
あれこれ考えてアンテナを立てるのも大事ですが、まず思ったことをやってみるのが何より重要です。将来それを仕事にしたいなら、今のうちにたくさん失敗を経験しておいた方がいい。大谷選手でも打率3割、失敗の方が当たり前です。すぐ作れるものは実際に作って試し、何が問題かを自分の手で掴む。失敗が当たり前くらいの感覚で、まず打席に立って振ってみましょう。
大きな社会課題をテーマにしたいけど、本やデータで調べるだけで終わってしまいそうで不安です。
分かりやすいテーマほど、本や人の話だけだと机上の空論になりがちです。本当に自分が解決したい課題かどうか、実際に現地へ行って確かめる「手触り感」があると、楽しく深く学べます。行ってみると、課題以前の別の問題が見えてくることも。まずは課題感の解像度を上げることを意識してみてください。
友達が企画しているイベントに出す前提で考えてしまい、自分のやりたいことが曖昧になっています。
まずは他の企画のことは一旦切り離して、自分が当事者として扱うテーマ単体で「何がしたいか」に集中しましょう。発表や出展の場に引っ張られすぎると、純粋にやりたいことが見えにくくなります。場の活用は後から考えればよく、先に自分のテーマの中身を固めるほうが、結果的にやりたいことに繋がります。
テーマをもっと深く掘り下げたいのですが、どうやって深いところを探していけばいい?
深掘りのコツは、比較対象を1つ持ってくること。「上がる/下がる」「気にする人/しない人」のように対極を並べて、なぜそうなるのかを調べると積み重なっていきます。男女差、都市と地方の差、海外との違い——比較すると自分たちのポジションが可視化できます。縦横に軸を取ったマトリックス(分布図)で整理するのも有効です。
テーマが大きすぎる気がします。先に問題を調べるべきか、現場に行くべきか、迷っています。
大きなテーマには色々な問題が含まれるので、まずどれか一つに絞る作業が必要です。そのためにも、先に現場へ足を運んで誰かと一緒に働いたり話したりしてみてください。現場に立つと問題の種類が見えて、自分が一番ビビッと来るものが分かってきます。人との出会いの中にこそ、探究したい何かの種が見つかります。
テーマが深くて、どこから手をつければいいか分からなくなってしまいます。
魅力的なテーマほど、掘れば掘るほど終わりがなく感じるもの。ゴールを目指すと果てしないので、まずはシンプルに小さくやってみるのがおすすめです。発信を一本してみる、現場に一度行ってみる、4コマや30文字の詩から作ってみる——どんな小さな形でも構いません。トライ&エラーを重ねるうちに、自然と探究は進んでいきます。
SNSで地元の魅力を発信したいけど、SNS以外にも伝える方法ってあるんでしょうか?
SNSは手段の一つに過ぎません。SNSが生まれてまだ歴史は浅く、それ以前も人はずっと魅力を伝えてきました。他の方法は山ほどあります。将来いろんな人に伝えたいなら、手段を一つに固定せず広く持っておくこと。SNS自体は若い世代にアプローチしやすい良い方法なので、続けつつ視野を広げていきましょう。
いろんなジャンルを1回のイベントに詰め込むのと、テーマを絞るのと、どっちがいい?
どちらにもメリットがあります。多様な要素があるほど企画の魅力は増しますが、ジャンルが飛びすぎると「何のイベントか」が伝わりにくくなります。大事なのは一本の柱(コンセプト)が通っていること。柱さえ揃っていれば、幅がある方がむしろ刺さる人のバリエーションが増えます。まずは柱で軸を決めてから幅を足すのがおすすめです。
実績も知名度もない自分たちの企画に、お店や大人は本当に協力してくれるんでしょうか。
どんな主催者も最初は実績ゼロから始めています。実績がないとできないわけではありません。やりたい企画名・思いと背景・日時・場所・何をお願いしたいかを1枚の企画書にまとめ、それを持って誠意を持って依頼してください。長崎は学生を応援したい大人が多い印象です。これはまさに営業の仕事そのもので、断られても貴重な経験になります。
自分の好きなことを企業と一緒に形にしたいけど、進め方が分かりません。学生にできることは限られている気もします。
まず「商品」と「商品開発」は別物です。企業には「一緒に作りたい」とまず伝え、そのうえで「なぜ自分と組むと良さそうか」=相手のメリットを示すことが大事。学生だからこそ持つ強みを棚卸ししましょう。その分野をよく知っている、身近に詳しい人がいる、そして「これがやりたい」という熱量そのものも立派な武器です。似た事例を調べ、相手の困りごとから口説き文句を考えてみてください。
AIが何でも答えてくれる時代に、これから自分はどんな力を身につければいいですか?
AIが答えを出してくれる時代だからこそ、希少になるのは「問いを言葉にする力(=プロンプト力)」です。答えを出すのはAIでも、問いを立てるのは人間にしかできません。今、自分の関心を問いの形にしようと悩んでいること自体が、その入口に立っている証拠。行動し、外に出し、反応を見て考える——このサイクルを若いうちから何度も回すことが、大きな力になります。